第64話|すばらしき古家に、悩殺・・・

一渡り土地を見学したあとは、いよいよお宅拝見です。
Cさんがポケットからちゃりんと鍵を出し、お勝手の扉を開けました。
「おじゃましますー。」先陣を切って中に入り、勝手知ったる様子で雨戸を開けるCさん。
がらがら、がらがら、がらがら。がらがら、がらがら、がらがら。
真っ暗な室内にさーっと光が射し込むと同時に、夫とわたしは感嘆の声をあげました。
「すごい・・・広い!」
こんなに広いとは思いませんでした。
10畳ほどの部屋が3つ、奥には6畳ほどの部屋が3つ、襖で仕切られています。
玄関入ってどん!と広がる真ん中の部屋には立派な神棚と仏壇があり、持ち主さんの先祖代々のお写真が
額に入ってずらーっと飾ってあります。みなさんがこぞってわたしたちを見ているような・・・・。(若干こわい。)
西端の部屋からの眺望は最高で、向かい側の山までが一望できるマウンテンビュー。
おそらくサンセットの風景はクラクラするほど美しいことでしょう。


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どぉ?どぉ?この部屋のかんじ。
どきどきしちゃうほど、古き良きニッポンでしょう?


お勝手に近い部屋はぐっと庶民的な設えで、真ん中にコタツが置いてあり、やかんの乗ったストーブがあり、
なぜか壁には長州小力のサインが貼ってありました。
この、玄関側の3室は、襖をぜーんぶとっぱらうと宴会場のように広くなるため、冠婚葬祭が家の中で
行えるようになっている、ということでしょう。
奥側の3室はもっぱらウラの間で、ものを収納したり家内雑事のために使われている様子。
そして、この6室の和室を囲むように板の張った廊下がまわり、その突き当たりの北側には、トイレの扉。
(この扉のノブにね、「使用中」「空き」と手書きされた巨大な札がかけられていました。結構笑える。)
まさに日本家屋、農家の典型的なプランです。

Cさんは、やや呆然の中を歩き回るわたしたちに手慣れた様子で説明してくれました。
「ちょっと前まではね、茅葺き屋根だったらしいんですよ。でもメンテナンスにやっぱりお金がかかるものでね、
スレートに葺き替えたんですってね。古いけどね、今も使っている家だから、中は傷んでないでしょ?
そうそう、トイレはね、ぽっとんですよ。」
おお、ぽっとん便所ですか!それは興味深い。早速中を見せてもらうことに。
見かけはフツウの洋式トイレですが、蓋をあけると漆黒の闇。
そしてやっぱり、クッサ・・・・。
何とも言えない、公衆便所のニオイを煎じ詰めたような、強烈なたくわんのような、ニオイ。
まあでも、慣れてしまえばギリギリ耐えられるかな、とも思ったりして。頭痛がするほどではないし。
水洗トイレしかない日常を生きているわたしにとっては、こういうニオイの部屋が家にあるという状態は、
なかなか感慨深いものがあります。親の世代の人間は、これが通常だったわけですからね。
正直抵抗ありましたが、排泄物に対する現代人的な嫌悪感をこういう場面で表現するのはなんだか
いやらしい気がして、
また「ぽっとん便所を否定する人間」はこういう場所に住む資格がない、という気がなんとなくして、
「へー、この中をどうやってバキュームするんだろう」などと言いながらじっくり眺めて退散。
(もちろん、遠慮というものを知らないにいには「オエーーーッ。うんこくせーーーーっ」と叫び、地団駄を踏み、
夫に頭を小突かれていました。)

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コメント

いつも楽しみにしています。
我が家は、二年前に長野の古い山小屋を購入して以来ずっと
改修を続けていますよ。
とにかく最初に手をつけたのがトイレとお風呂です。
もちろん業者にお願いしたのですが・・・。

我が家も房総に物件が欲しくなってきました。
長野は凍死しそうなくらい寒いものですから。

ちえみんさん、コメントありがとうございます!
長野の山小屋ですか・・・すばらしい。
実はわたしたちも、一度小諸まで偵察に行ったことが
あるんです。長野の土地に魅せられて。
ちえみんさんの山小屋のあるあたりはもう、雪ですか?
(11月に上高地に旅行に行ったら、すでにすんごい雪でした)

山小屋は先月から雪です。
実は住んでいるのではなく、十二月から三月の間はクローズしています。
夏仕様なので屋内でも凍死します。

もっと広い土地が欲しいのですが、北海道あたりじゃないと無理と言われてしまいました。

昨日友人達にこのブログを見せたところ、大爆笑で大うけでしたよ。

ちえみんさん、夏仕様の山小屋とは何と夢があること!
ぜひ次は、冬仕様の山小屋を房総に!
といっても房総って避寒地にならないかしら。
以前NHKの天気予報で「房総の冬は寒い」という特集をやっていました・笑。
広い土地、いいですよね。
ちえみんさんは何を目的で?まさか・・・ビニルハウスたてるとか?!

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このブログについて

平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。

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著者プロフィール

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Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

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