第62話|めぐりあっちゃったかもしれない

それは、幻の「秦野の物件」の呪縛から解き放たれた瞬間でした。
以前、売買契約成立の直前に目の前でかっさらわれた、あの土地です。
あの土地への憧れ、執着、そして喪失感や悔恨は、わたしたちの中でずっとずっと燻りつづけていました。
「秦野の物件より魅力的でなければ、手は打てない。」
夫とわたしの間ではそんな暗黙の共通認識があり、ちょっとお手頃な物件にめぐりあった時も
「・・・だよね。」と、目を伏せてやりすごしてしまっていました。

でも、今回の土地は、違いました。
あれ以来、初めてです。土地探しをはじめてから2度目の、感動。
「なんて、なんて、なんて気持ちがいいんだろう!」
家の建つ高台から、眼下にひろがる段々畑。
遠く下の方に見える県道まで、美しい緑の大地がつづいています。
これが単なる借景ではなく、この物件そのもの、なのがミソ!
見えるのは「この物件の土地」なのです!
そしてわたしは、500坪とかのレベルではない、「8700坪」という土地の広さを実感したのでした。

72.jpg
どぉ?この眺め。
わたしはこの眺めが、欲しいんです。
そりゃ、どってことない田園風景だけどね・・・
見晴らしいいでしょう?

「ねえ、本当に、こんないいところが売られているんだねえ。」
遙か前方に見える小高い山の木々が背景となり、「日本列島小さな旅」のタイトルバックのような
ニッポンの懐かしい里山風景を織りなしています。
雑草が伸びた荒れ放題の土地とは違い、きれいに草刈りしてある土地は、何とも美しい。
今は耕作していないようですが、ヒトの手のあとを感じます。


・・・めぐりあっちゃったかも、しれない。でも、まだわからないよ、わからない・・・。
わたしは静かに、歓喜の感情を抑えました。あんまり手放しに喜ぶわけにはいきません。
ぬか喜びして、あとで激しく落ち込むのだけは、ごめんです。
それでも、その空間の広がりのあまりの心地よさに、思わずサングラスをかなぐり捨てて「サイコー!」と
叫びだしたくなるほど。もちろん、チクチクする目の下にハッとして、思いとどまりましたが。


そんな複雑な興奮を胸に秘めたわたしを屁とも思わず、ゲタゲタと笑いながら斜面を駆け下りる
こどもたちの、何と、ありのままなことよ。
「すげ〜〜〜!ここアルプスだよママ〜〜〜〜!ひっろ〜〜〜〜〜〜〜い!
ヤギがでてきそ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
ヨーロヨーロヨッホッホーイヨッホッホーイヨッホッホー!!」
最近「アルプスの少女ハイジ」のビデオにハマっていたにいには、すっかり山羊飼いペーターの気分。
ぽちんと二人で意味不明の奇声を発しながら、草の上を走り回っています。
「これっ、やめなさいあなたたち!まだよそサマの土地ですよ!」
婆臭くたしなめながらも、気分はいよいよ、うかれぽんちきのこどもたちと同化しそう。

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コメント

ぐぐっ・・・ついにですか?!。。
なんかこっちまで緊張です!
どうか。。。落ちがありませんように (祈)^^

kazuさん、ご承知のとおり、世の中そんなにスイスイうまくいかないものなんですよねーー。
でも、必死こいて泳いでいれば、必ずや岸が見えてくるはず。がんばります〜!

はあ〜、これが8700坪ですかあ・・・。
「裏山?ああ、家の土地だよ♪」ってレベルを超えてるんですねえ・・・。ひろーい!

毎週火曜日と金曜日が待ち遠しいんです。
今日も朝から、まだかまだかとアップロードされるのを
待っています。
もー、、、待ちきれません!
早く次をお願いします。

うにさん、そうなんですよ!
自慢の仕方とかを妄想させちゃうのが、8700坪のすごいところ・・・
都心だったら家が何軒たつとかって考えてる場合じゃない広さですよね〜。

木綿さん、コメントありがとうございます!
これだけうだうだやっているわたしたちに付き合っていただいて感謝感謝です。
苦労もふきとびます。
でもホントは、さらっと購入したいところなんです・・・涙。
今しばらく、お付き合いくださいませ♪

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このブログについて

平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。

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著者プロフィール

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Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

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