第43話|道祖神の招きに逢いても・・・しりごみ

ぞろぞろぞろ。
わたしたちはTさんにくっついて、物件の全貌を見るべく山道を歩き始めました。
鬱蒼と茂る木々の間を縫うような道は、まるで神社の境内のような静けさです。
多少陰気な感じがしましたが、口に出してそういうとよくないと思い、
「雰囲気ありますねー」と努めて明るい声で言ってみましたが、そんなわたしの気遣いをまったく無視して
にいには「くらーい。おばけやしきみたい」と、ぼそり。


でも、たぶんちょっと木を切り払うだけで、雰囲気は変わるだろうなと、わたしは楽観的に考えていました。
だらだらと続く斜面は、ビニルハウスを建てるのには不向きですが、山荘をたてるのにはなかなかよさそう。


だいたいわたし自身は、あんまりパッカンと開けた土地より、ちょっとこんもりした山奥風情のほうが好きなのです。
「この土地を合わせると、けっこう広いですよね。・・・・あ?」
夫は急に足を止め、前方を見やりました。

そこには赤いべべを着た、お地蔵様。
ひとり、しーんと立っておられました。
「こ、これは、触れないほうがいいですよね、そうかあ、お地蔵様がいるとは・・・」
実は彼、こういうものにまるで弱くて、けっこうビビットに反応するんです。
畏れを感じるのか、心なしか後ずさりしています。


「あーら、この土地を守ってるんですね。大事にしなくっちゃね!」
別にお地蔵様がいたっていいじゃーん。そういう意思表明のつもりでわたしはこう言ってみたものの
「撤去しないほうがいいですよ。何かの供養のために置かれているお地蔵さんかもしれませんし。」
と、Tさんが小さい声でつぶやくと、なんだか一同神妙な雰囲気に。
自分なりに何かせねばと思ったらしく、アホなにいには「なん〜みょう〜ほう〜れん〜」と読経をはじめる始末。
ますますいたたまれない空気が流れ、わたしたちはそそくさとその場を離れました。


道路へ向かう道すがら、Tさんにそっと聞いてみました。
「ひょっとしてここ、何か妙なことがあった土地なんですか?
あのー、ほら、不本意な亡くなり方をしたヒトがいるとか。」
「いえいえ、ご心配なく。別に自殺者とか殺人とか、ありませんよ。ただ・・・」
Tさんが口ごもると同時に、遠くの方から、ヒトの声が聞こえたような気がしました。
「来るなー!」


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う〜ん人里。フツウの人家がならんでる〜ぅ♪
通る車もおしゃれ♪(関係ないか。)

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このブログについて

平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。

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Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

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