第13話|前夜の作戦会議、そして土地を見に行く

さて、不動産屋さんの紹介の土地を見るのははじめてのわたしたち。前夜にふたりでごそごそと作戦会議をひらきました。


「とにかく、あんまりすぐに、気に入ったそぶりをしないことだ」
「そうね。足もと見られるもんね」
「万が一気に入っても、ぱっと食いつかないで、ふーん、あっそう。ってポーカーフェイスでな。むこうに値引きさせるときに、こっちは強気なほうがいいからさ。別に他のところと取引してもいいんですよーって」
「なるほどー。じゃあ、なるべく笑わないようにする」
「でも、ほかにも買いたいヒトが出てきたら、とられちゃうかもしれないから本気で買うことを考えていると伝えてキープしておかなくちゃいけない」
「冷やかしじゃなくてね。むしろ切迫した顔してたほうがいいのかな」


・・・今となれば、こんな話し合いをする妙なメンタリティは、緊張の表れだったのかなあと思います。何しろ、こんなに巨額の買い物をするのは、最初で最後かもしれないのです。損しちゃいけない!見くびられちゃいけない!つかまされちゃいけない!と、肩に力が入りまくっていたのでした。

その物件は、住所でいうと、秦野市にありました。東名高速をつかって車で1時間ちょっと、まとまった住宅地の織り交ぜられた、わりとのどかな田園風景がつづくようなところです。現地に案内してくれたのは、地元の不動産屋さんのKさん。一見いかつくて恐そうな顔をしているのですが、ひょっとしたら頼りになるかもと思える50がらみの男性でした。


口癖は「うまいこと言うじゃないですけれども」。セールスポイントの説明の時、必ずこのコトバを連呼します。(やや不安をあおる口癖。「実はホントにうまいこと言ってるんじゃないの?」とつっこみたくなるような。)待ち合わせ場所で名刺交換ののち、すぐに現地へ。


住宅地の間を抜けていくと、ふっと静かになり、高台へのぼっていく細道が続きました。
ぽつんぽつんとたっている家を見やりながら「まだかな」とKさんの車を追って走っていくと
途中に物寂しげな墓地があり、「・・・この隣じゃないといいな」とちらっと思っているうちにそこも通り過ぎそこから何軒かの家の前も過ぎたあと、こどもの白い上履きがブロック塀の上にならべてある家の脇で、Kさんの車がすっと止まりました。わたしたちもその隣に車を横づけして降り、カメラを手にきょろきょろ。


「えーと、土地は、どれですか?」
「この上です」


13.jpg
う〜ん鄙びまくり♪(ちなみにこれって最高の誉めコトバです)
写真右上に向かってのぼっていった先には・・・


上履きの家のところで舗装されている道がぶつっと切れているのですがそこからさらに続く道ならぬ道を、Kさんがのぼっていくあとを追うと左手に、目的の土地がひらけていました。

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このブログについて

平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。

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Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

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