「Taito Style」プロジェクトレポート vol.1
text= 大我さやか(Open A)

「Taito Style」のある高台からはこんな水平線から登る朝日が見えるのです!


住みかを分散させる

馬場:太東に住み始めてからのライフスタイルってどんな感じですか?

那部:立ち上げた会社の仕事も落ち着いてくると、太東にいる時間も割と長くなっていきました。ちょうどサラリーマン時代とは違うタイプの仕事をいろいろやり始めた時期でもあった。30代になって余裕が出てきたのも大きかった。そして太東に住むことで、居住空間を選ぶのと同じように、働き方を選ぶようにもなっていったんです。

馬場:二拠点生活とともにライフスタイルとワークスタイルがちょうど変化していったんですね。

那部:どちらかというと仕事が生活に引っ張られて変わっていったという感じです。最初は月~金まで都内で、週末は房総でという生活をしていたんですが、そのうち住むところのこだわりが強くなっていった。この生活をするためにどういう仕事をすればいいか? という感じに。

馬場:そういうライフスタイル、いいですね。

那部:むしろ、そういうスタイルに人々の生活も変化していくのではないかなと思っています。羽田空港が24時間化されて飛行機の便が良くなったり、高速道路が無料化されたり、新幹線もどんどん張り巡らされて、日本中どこでも数時間でいけるようになった。そうすると、家を一極集中させるんじゃなくて、分散させてもいいと思うんです。例えば極端な話、渋谷の小さなワンルームは書斎で、房総の家はリビング、箱根にお風呂場があって、沖縄にプールがある、みたいに。

馬場:家が解体されて日本中にちりばめられているんですね。

那部:交通機関が発達することによって、日本全国あちこちに家の機能が分散していく。その住まいも自分のライフスタイルに応じて変えられる。例えばちょっと仕事で書き物が多くなってきたから、都内の書斎を軽井沢に移してみようとか。住居のクラウド化というのでしょうか。クラウドコンピューティング・システムってありますよね。サーバーを所有しないで、個人のデータを全てクラウドにいれてしまえる。そのような住まい方が考えられないかなと思っています。家はもう個人では所有しないで、部屋の場所も大きさもインテリアも、個人や家族のライフスタイルによって変えていける。この「Taito Style」はそのプログラムの一部として考えています。
私の住んでいる家は、ここ1カ所だけで生活するにはとても不便な家のプランになっています。言ってみれば大きなワンルーム。1、2階とも間仕切りが全くありません。この家を建てる最初から、この家はリビングルームだという位置づけでつくっていたので、そういうプランになっているのです。

馬場:まるでリビングの中にお風呂や寝室、書斎があるという感じですね。
間仕切りで細かく区切られていないので、家全体がとても開放的で、視界や空気がつながっている。それに自然の風が家中を吹き抜けて、とにかく心地がいい。

那部:このライフスタイルと同じような環境を他の人にも提案したいと思い、今回の「Taito Style」プロジェクトを計画しているのです。

馬場:自分自身がその住まい方の実験台になって、その結果としてこのプロジェクトがあるんですね。


(2010年12月6日 太東の那部邸にて)



※次回、第2回は2月頃、「Taito Style」の建物プランやコンセプトなど、建築の概要をレポートする予定です。日々進行する施工現場の様子は、那部さんが更新している「Taito Styleブログ」にて随時レポートしております。是非ともチェックしてください!